42年も自転車屋さんを営んでいる人の話は、知らないことだらけで滅法おもしろい。
ロードバイク&ミニベロアンバサダーを名乗るボクだが、メカニカルなことは詳しくないし、歴史も全然知らない。アンバサダーを名乗るのは、「ボクのようにゼロ知識からはじめても、あっという間に楽しめてしまう自転車の楽しさを伝えていく役割」だからだと思ってて、決して博識だからではないのだ。
ということで、まだボクがスポーツバイクに何の興味もなかった1990~2000年あたりのスポーツバイク事情を訊いてみた。
日本で本格的にスポーツバイクが普及したのって、いつごろなんですか?
ロードバイクは、2000年の半ばくらいに入ってからだね。それまでも乗っている人はもちろんいたけど、少数派だね。変速機はダブルレバーだったこともあって、扱いにくかったし、一部のマニアとか愛好家しか乗っていなかったよ。
流れを変えたキッカケってあったんですか?
シマノのSTIの登場・・・かな。ブレーキレバーから手を離さずに変速できる、画期的なギアのおかげで、これまでロードバイクと無縁だった人たちが始めるようになったよ。
当時はどんな車種が人気でした?
特に人気があったのは、FELTのF70(Google画像検索結果)っていうアルミモデル。フロントが3段と105の組み合わせがよく売れたよ。2000年代半までは、まだアルミが主流だったんだ。カーボンなんて、気軽に手が出せなかった時代だよ。ほとんどがアルミかスカンジウム。あとは、ボディがアルミで、”シートステーだけがカーボン”っていう、カーボンバックがせいぜいだったかな。
他にはどんなのが?
これもFELTだけど、F15(Google画像検索結果)っていうスカンジウムモデルも人気だったよ。スカンジウムがどういう材質かだって? スカンジウムは、100年以上前にスウェーデンの博士が発見した金属の一種なんだけど、スカンジウムフレームは、アルミと混ぜて作るんだ。スカンジウム100%のフレームってのは作れなくて、ベースはあくまでアルミなの。
へー、スカンジウムにすることのメリットってなんですか?
スカンジウムはものすごく軽い。その反面、乗り味が硬いんだ。荒れた路面を走ると、ビーンって強い衝撃がくるね。ちなみに、スウェーデンで発見されたから、スカンジナビアにちなんでスカンジウムって呼ばれてるの。これ、豆知識ね。
そうそう、FELTのF55(Google画像検索結果)はキラーモデルで、ものすごく人気だったよ。なにしろ、デュラエースを積んでカタログ価格でたったの22万8千円だったからね。これ、すごいことよ。もちろん、フルデュラエースではなくて、シフター、フロントとリアのディレーラーのメカ部分だけがデュラエースだったけどね。それでも、超お買い得モデルだったね。
それにしても、古いカタログ、ものすごくたくさん保管しているんですね・・・。
僕は大事に保管していまうタチなんだ。なぜかって? そりゃあ、自転車が好きだから(笑)、っていうのは冗談で、ほとんど意味はないんだけど、稀に古いモデルを乗ってくださっているお客さんから、「いついつの○○○○ってモデル、スペックは何だったっけ?」ってお問い合わせを受けることもあるんだ。そういうとき、元のパーツが何だったか、参照できるのは便利だね。まあ、滅多にないことなんだけれども。自分で言うのも何だけど、几帳面な性格なんだろうね。
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