スプロケットをワイドにすればどんな坂でも登れるのか?実は話はそんなにシンプルではない

ヒルクライムで坂がきつかったりすると、「もう1速、落とせたら楽に走れるのになー」と己のカセットスプロケットの歯数の少なさを呪ったりするものです。
 

ではスプロケットをワイド化して、大きなローギアを使えば全て解説するのかというと、どうもそうではないようです。

 
そのへんのカラクリを、長尾さんに教えてもらいましょう。
 
 
 

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「たとえば今仕上げているTernのVergeX11ですが、フロントはシングルでして、登坂はワイド化したスプロケに任せようというスタイルですね」
 


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「なにこれ・・・ローギアがディスクブレーキローターよりでかいじゃないですか。こんなんアリですか」

 
「スラムのX11なんですが、なんとトップは9Tにたいして、ローは46Tあります」

 
「フロントは53Tですから、まあまあ軽いギア比になりますね」



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「かなりの坂でも登れてしまいそうですね。仮にフロントをこうちょいコンパクトにすれば、どんな激坂でもいけてしまえそうな気がする」

 
「それが、事はそんなにカンタンではないんですよ。軽ければ無条件にいいってわけでもなくて」

 
「え、どうしてです?ふつう、坂の角度があ上がれば、軽いギアを使うのは一般常識じゃないですか」

 
「たしかにそうなんですけど、あくまで程度問題ではあって、軽すぎるギア比だとふつうの人では軽すぎて回せないですよ」

 
「そういうものなの?」



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「マウンテンバイクに乗る人ならわかると思いますが、軽すぎだとトルクが使えないので、まともに坂を登ることすら難しいと思います」

 
「たとえば、1対1のギア比だったら…経験した事はないですが…かなりのハイケイデンスで回せないと自立するのすらしんどそう」

 
「ヒルクライムを上達させたいなら、カセットを大型化するのもいいんですが、同時にダンシングの技術を向上させるといいでしょう」
 
 
「あー、なるほど。シッティングだけで激坂はクリアできないですもんね。いろんな筋肉を使い分けないと、足が売り切れてしまうし」

 
「そうそう。パーツだけに頼らないようにはしてほしいですね」



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「ところで、このVergeX11をフロントダブルにはカスタマイズできるんですかね?」
 

「バンドで組み合わせれば可能っちゃ可能です。ただ、Ternのメーカーとしての考え方なんでしょうが、ラインナップはどっちかというとフロントシングルにして、カセットスプロケットを大型化しましょうって雰囲気です」

 
「へー、できるといえばできるけど、カスタマイズ前提になりますね」

 
「その点、ダホンはちょっと違って、フロントがもともとダブル化できる前提で作られています」

 
「メーカーごとに哲学が異なるのって、面白いなあ。じゃあ、フロントダブルで行きたい人は、、ダホンの方がマッチしている、と」

 
「そうなりますね」



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「最後にひとつ教えてください。今の流れとぜんぜん関係ないですが、ディスクローターってどうしてパッドが当たるとこが穴が開いているんでしょ?放熱?」

 
「ですです。放熱のためです」

 
「じゃあ、外径が真円ではなくちょっとギザギザになっている理由は?」

 
「真円ではないことで、パッドの汚れが落ちやすくする効果があるんですが・・・」

 
「が…?」

 
「ぶっちゃけ、デザインです。だって、このほうがかっこいいじゃないですかw」

 
「ギャフン!」
 


 
 
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